のれんをくぐる前から、においでわかります。あの、ゆで卵のような、温泉らしいにおい。硫黄のにおいです。
硫黄泉を源泉かけ流しで使っている宿が148軒あります。硫黄泉は全国で234軒なので、そのうちの6割強が、湧いた湯をそのまま使っていることになります。
硫黄泉は、かけ流しかどうかで別ものになります

硫黄の成分は、空気に触れると変わっていきます。だから、湧いたばかりの湯と、循環してろ過を通った湯とでは、においも色もずいぶん違います。にごりが強いのも、湯の花が舞うのも、たいていはかけ流しの浴槽です。
「源泉かけ流し」と書いてあっても、温度を下げるために加水している宿はあります。それが悪いわけではなく、そうしないと入れない熱さの湯があるからです。秋田の後生掛温泉は、加水を控えて熱め・濃いめにしている、と書いています。
白いとはかぎりません
硫黄泉というと乳白色を思い浮かべますが、実際に行ってみると透明なこともあります。
色は、硫黄がほかの成分とどう結びついているかで変わります。新潟の岩室温泉 高志の宿 高島屋は、湯に含まれる鉄分が硫黄と結びついて硫化鉄になり、源泉が黒い「黒湯」になります。かけ流しの露天風呂で、その黒さがいちばんはっきり出るそうです。
同じ日の同じ浴槽でも、天気や気温で色が変わることがあります。「今日は白いですね」と言うと、宿の人がうれしそうに説明してくれることが多いです。
持っていくもの、持っていかないもの
- 銀のアクセサリーは外します/硫黄で黒く変色します。指輪もピアスも、部屋に置いていってください
- 白いタオルは覚悟して/湯の成分で色が移ることがあります。宿のタオルを使うのがいちばんです
- 白っぽい下着と服も/脱衣所に湯気がこもると、そこでも移ることがあります
- 上がり湯をするかは、掲示にしたがって/成分を残すようすすめる宿と、流すようすすめる宿があります
- 肌の弱い人は短めに/とくに酸性寄りの硫黄泉は刺激があります
においは、髪と服にしばらく残ります。翌日そのまま人に会う予定があるなら、髪だけは最後に洗い直しておくと安心です。
泊まってみたい宿
秋田県・後生掛温泉 後生掛温泉 箱蒸し風呂に入ってみたい方 この宿を見る →八幡平の湯治宿。山小屋をかたどった総木造の大浴場に、伝統の「箱蒸し風呂」、泥を手に取って肌になじませる「泥湯」、気泡の「火山風呂」、天然蒸気の蒸気サウナ、打たせ湯と、七つの湯があります。メインの浴槽は泥の成分で灰白色のにごり湯。大小の浴場とも全浴槽が100%源泉かけ流しです(温度調節の加水のみ)。
新潟県・岩室温泉 岩室温泉 高志の宿 高島屋 硫黄と塩分を併せ持つ黒い湯に入りたい方 この宿を見る →新潟・岩室温泉の全18室。硫黄と塩分が両方入っている湯で、鉄分が硫黄と結びついて源泉が黒くなります。古代檜の内湯と石造りの露天風呂「翁の湯」があり、源泉かけ流しの露天風呂付き客室も。白くない硫黄泉を見てみたい人に。
静岡県 湯の宿 志むら pHの高い硫黄泉に入りたい方 この宿を見る →静岡市葵区・梅ヶ島の小さな旅館。梅ヶ島温泉郷の4つの源泉のひとつ「コンヤ温泉」を源泉かけ流しで引いています。pHが10という高さで、泉質は単純硫黄泉。なめらかな湯ざわりです。岩づくりの露天と内湯、家族で使える貸切露天風呂。食事は山菜や川魚、冬は猪や鹿。
栃木県 フォートリート+那須高原 濁り湯に浸かりたい方 この宿を見る →那須高原。那須湯本の「鹿の湯」を源泉とする白濁の硫黄泉を、露天風呂にかけ流しで引いています。乳白色の硫黄泉を思い浮かべて行くなら、このあたりです。ラウンジには200冊以上の本があります。
秋田県・田沢湖水沢温泉郷 田沢湖水沢温泉郷セルリアンリゾートAONI 2つの大浴場でロウリュと外気浴を試したい方 この宿を見る →秋田・田沢湖水沢温泉郷。湯の華が舞う100%源泉かけ流しです。大浴場が2つあり、どちらも露天風呂とサウナ付きで、ロウリュ・水風呂・外気浴ができます。大きいほうは内風呂の窓から森を見渡せ、もう一方は黒を基調にして夜は星が見えます。入浴は15時から24時と、朝5時から9時。
栃木県・日光中禅寺温泉 日光中禅寺温泉 中禅寺金谷ホテル 手を加えていない源泉の湯に浸かりたい方 この宿を見る →中禅寺湖畔のホテル。約12km離れた奥日光湯元から硫黄泉を引いていて、循環させずにかけ流しています。岩造りの露天風呂「空ぶろ」で、湖畔の空気のなかで入れます。中禅寺湖のほとりまで歩いて行けます。
148軒を見る
硫黄泉を源泉かけ流しで使っている宿として記録した148軒を、下のページに並べています。
「源泉かけ流し」と泉質は、各施設の公式サイトや温泉分析書の表記をそのまま転記しています。浴槽ごとに扱いが違う宿もあり、148軒のうち本文でかけ流しの記述まで確かめられたのは132軒です。効能について言い切ることはしていません。

